
季節の変わり目や新学期に、「うちの子、また風邪をひいちゃった…」とハラハラすること、ありますよね。子どもが風邪をひいたとき、体では大切な学習が行われています。
今回は、子どもたちの体内で、日々繰り広げられている驚きの防衛システムをご紹介します。
※本記事は室生暁著の書籍『人体の不思議がわかる! すごすぎる体のつくり図鑑』から一部抜粋・編集しました。
続きを読む
解剖学者が解説! 胸腺は子どもを守る「免疫の学校」
胸腺は、胸の真ん中、心臓の少し前にあるやわらかい臓器です。「免疫の学校」のような場所で、体を守るTリンパ球という細胞に、自分の体を間違って攻撃しないことや、ばい菌やウイルスだけを狙うことを教えます。厳しい選別に合格した細胞だけが血液の流れにのって全身へ送り出されます。

子どものころ、胸腺は新しい免疫の細胞を育てるために働くので、大きく目立ちます。
続きを読む
小さい子どもの頃は、外の世界に出会ったばかりで、体には経験が足りません。そのため、新しい免疫の細胞をたくさん育てる必要があるのです。胸腺はその中心となって働きます。

けれども成長すると、すでに学んだ免疫が役立つようになります。すると胸腺は少しずつ小さくなり、中の働く部分が減り、かわりに脂肪の組織が増えていきます。胸腺は壊れたのではなく、子どもの体を守る大切な仕事を終えて、静かに次の段階へと引きついだ臓器なのです。
続きを読む
【豆知識】
胸腺では、体の一部に強く反応してしまうTリンパ球は取りのぞかれます。この仕組みがあるから、自分の体を間違って攻撃しにくくなります。胸腺は、ただ育てるだけでなく「選び分ける」場所なのです。
いかがでしたでしょうか?
このように身近なのに不思議なことや知らないことが多い体のつくり。風邪をひいたときに働く臓器、胸腺が子どもから大人にかけて小さくなるなんて驚きですよね。
続きを読む
文=石井有紀

【著者プロフィール】
室生 暁
解剖学者、医師、博士(医学)。東京科学大学 臨床解剖学分野 講師。1989年生まれ。2014年東京医科歯科大学医学部卒業、2019年東京医科歯科大学大学院博士課程修了。専門は肉眼解剖学、臨床解剖学。人体の構造を詳しく調べ、肉眼解剖・組織学・三次元解析を用いて、体の奥にある組織の形態を研究している。見慣れた体の中にある、意外な仕組みや形を一歩深く読み解く視点を伝えている。2021年度日本解剖学会奨励賞受賞。
著=室生暁/『人体の不思議がわかる! すごすぎる体のつくり図鑑』
記事一覧に戻る