
『JSA』(2000)や『甘い人生』(2005)、そして世界的大ヒットを記録した「イカゲーム」(Netflix)など、数々の伝説を塗り替えてきた俳優イ・ビョンホンさんが来日!
デビュー35周年という記念すべき節目に届けられた最新主演映画『しあわせな選択』は、『オールド・ボーイ』でも知られる世界的巨匠パク・チャヌク監督と21年ぶりとなる待望の再タッグ作。
長年トップを走り続ける彼が、本作ではこれまでの「完璧なヒーロー」のイメージを脱ぎ捨て、なりふり構わず生き抜こうとする男の凄絶かつコミカルな姿を熱演。 映画の見どころや驚きの撮影秘話、さらには知られざるプライベートの素顔まで。人気韓流ナビゲーターのみんしるさんが、その核心に迫りました!
イ・ビョンホン衝撃告白!「彼のような状況になったら、誰しもこうなってしまうかもしれない……」

イ・ビョンホンさんが演じるのは、製紙会社で25年間勤め上げたエリート、マンス。しかし、突然の解雇をきっかけに、彼は「再就職のためにライバルを消す」という衝撃のアイデアを実行に移していきます。
――映画『しあわせな選択』、本当に面白く拝見しました。韓国でも拝見し、日本の試写でも2回見たのですが、公開されたらもう一度見たいと思っているほどです。
イ・ビョンホン「この作品を宣伝しようと思って話すわけではないのですが、私自身、すでに7、8回見ているんです 。出演している私ですら、撮影のときには気づけなかったことを毎回発見する、本当に不思議な映画です」
続きを読む

――主人公・マンス自身は必死なのですが、その姿がどこかコミカルに見えてしまうというブラックな要素がありますよね。演じてみていかがでしたか?
イ・ビョンホン「これまで多くの国々で映画の話をしてきましたが、多くの方々が『笑えて面白い』と言ってくれました。でも実際のところ、私たちは離れたところからマンスを見ているからこそ笑えますが、彼の立場になってみると凄絶でしかないんです。藁をもつかむ思いで、どうにか生き延びたいという思いゆえですから。
日本ではこのように言うかわかりませんが、『人生は遠くから見れば喜劇、近くから見ればものすごい悲劇』だと私たちはよく言います。マンスの生き抜きたいという姿は、まさにその言葉を体現している気がします」

パク・チャヌク監督との共通点は「とても愉快なところ」
――今回の作品を拝見して、ビョンホンさんの新たな一面に驚かされる方がたくさんいらっしゃるだろうなと感じました。パク・チャヌク監督とは『JSA』『美しい夜、残酷な朝』に続く3度目のタッグとなりますが、長編作品としては実に25年ぶりですよね。長年、信頼関係を築いてこられたビョンホンさんの目から見て、改めて感じるパク・チャヌク監督の凄さはどのようなところでしょうか。
イ・ビョンホン「監督は韓国の映画界で『撮影現場では全く怒らない人』として有名です。
誰も彼のしかめ面を見たことがないほど、いつも優しい笑顔なんです。笑顔だけれども要求はとても鋭く、スタッフたちや俳優たちに『私はこういったことを求めている』と話すときは、カミソリの刃のように鋭い。ですが、NGを出して何度も何度も繰り返すことがあっても全くイライラする様子を見せない人です。
続きを読む
要求するものが常に明確なので私たちは若干の緊張を伴いますが、常に現場の雰囲気がいいという不思議な感じなんですよね。
監督との仕事を終えていつも私が驚くのは、撮影中もそうですが、映画が完成し作品を初めて見たときに、あのときどうしてあの演技をしてほしいと要求したのかを悟る瞬間が本当に多いことです。
本当に長い時間をかけて全て計画して考えているというのがわかるので、度々やってくるそういう瞬間が毎回驚きですし、本当にすごい人だと思わせてくれます」

――ビョンホンさんも、本当にすごい方だなと感動した出来事があります。ずっと前に済州島でのファンミーティングで司会をさせていただいたことがあります(ビョンホンさんは驚いて思わず握手!)。撮影が長引いた直後、かなり遅い時間に会場へ駆けつけてくださいましたよね。
多忙を極めるスーパースターでいらっしゃいますし、本当にお疲れのはずですから、私の方では「さらっと確認して…」と考えていたんです。ところが、ビョンホンさんは、台本の一つ一つ丁寧に読みながら「ここはもっとこうしたいです」と、ファンの皆さんのために、より良いステージにするためのアイデアを熱心に提案してくださる姿に驚きました。
イ・ビョンホン「ありがとうございます(笑)」
――お話をうかがっていると、ビョンホンさんはパク監督と似ているところがあると思いますが、ご自身としてはいかがですか。
イ・ビョンホン「監督と共通している部分は、撮影現場で自分のシーンの撮影に入るときをのぞいて、私はとても愉快な人間というところでしょうか。監督も撮影現場で面白い冗談を言うのが大好きなんですね。なので、2人で会話する時間は私だけでなく周りのスタッフたちも楽しんでくれる、そんな部分がちょっと似てるかもしれません。
続きを読む
それに私もそうですが、監督は求めているものが撮れないときには二十回も三十回も繰り返します。そういうところも似ているかもしれません」

――ビョンホンさんも、現場でアイデアをたくさん出されたそうですね。ヨム・ヘランさん、イ・ソンミンさんとの銃を取り合うシーンが最高でした!
イ・ビョンホン「あれは現場でリハーサルをしているときに『監督、こんなのはどう?』とアイデアを出したんです。確実に銃を扱えるのはプロの人間であって、私たちのような人間が極度の興奮状態にあるときは、銃を手にするために争ったらその銃がどこかに行ってしまう…という風になるはずです。そんな状況の中で、三人がまるでミミズのように床を這うという、どこか滑稽に見える場面がまさに人生ではないか?と。笑えるけれど熾烈な感じを出せるのではないかと監督に伝えたところ、『お、それはいい!』ということであのシーンが生まれました」

――その他にもこれはどうやって撮ったんだろうという印象的なシーンもたくさんありました。特にビールジョッキの内側からマンスを映し出した演出が素晴らしかったです。
イ・ビョンホン「パク監督だからできたんだと思います。
あのシーンを撮るのに何時間もかかったんです。ジョッキにカメラを装着したり…。色々な準備をして待っている間、僕は隣で何でこんなシーンを長々と撮るのかと疑問をぶつけていました。監督とは本当の兄弟のように仲の良い間柄なので。
でも、結果的に今まで見たことがないようなシーンが生まれました。
続きを読む
パク監督の頭の中にはこういうシーンが全部頭の中にあるんだな、と思いましたね。
爆弾酒がなくなっていく様子やゴクゴクと飲む音、ビールの泡、そして小さな盃がジョッキの下に落ちたカチン!という音…。劇場のスクリーンで見たら本当にリアルでしたし、お酒好きだったら劇場を出たら『ビールを飲まなきゃ!』と思うはずです」

家族ぐるみで仲良くしているソン・イェジンとの初共演は「こんなに息が合うものか」と驚いた
――妻・ミリ役を演じたのは『愛の不時着』のソン・イェジンさんですね。
イ・ビョンホン「どういうわけか、長い俳優生活の中でソン・イェジンさんと一度も共演したことがありませんでした。きっと彼女も同じ思いだったと思います。でも、共演はせずとも、妻(イ・ミンジョンさん)と仲が良くて同じ事務所なので、プライベートでは何度か会っていました。一緒にご飯も食べましたしね。ですから、全く馴染みのない間柄ではなかったんです」

――意外にも初共演なのですね。
イ・ビョンホン「ある程度お互いを知っている状況で初めての共演をしたのですが、とてもやりやすかったですし、こんなに息が合うのだな、と驚くほどでした。
彼女の本当の真価に気づいたのは映画を見てからです。
『うわ~こんな細かいディテールまで感情を込めて演技していたのか!』と、感動しました。本当にいい俳優だと思いました」
――今回のキャストは、この人たちひとりひとりの主演作を何本撮れるだろう? と思うほど豪華ですね。
続きを読む
イ・ビョンホン「共演したイ・ソンミンさんやパク・ヒスンさん、チャ・スンウォンさんは、演技が本当に素晴らしい方々です。ヨム・ヘランさんは、韓国の舞台挨拶で『トレンド俳優のヨム・ヘランです』なんて自己紹介していましたが、その言葉通り、今まさに“旬”の俳優さんです。
これほどに演技が上手な、まさに『演技の怪物』と呼ぶにふさわしい方々と一つの作品で共演できたことは私にとっても本当に楽しい時間で。これほど豪華なキャスティングは、果たして次はいつ実現するのだろうか…と思いました。舞台挨拶でも『撮影が終わるのが残念だった』とお話ししたほどです」

デビュー35周年にして秘密の顔を告白!? 日本に来たら食べる大好物、必ず行く意外な場所とは
――ビョンホンさんはデビューしてから35周年です。改めてご自身の人生の中でターニングポイントとなった作品について教えてください。
イ・ビョンホン「(じっくり考えながら)いくつかあります。
例えば『JSA』は私が初めて『ヒット作を持つ俳優』『映画でも可能性のある俳優』と業界の方に認めていただくきっかけになった作品でした。
『甘い人生』は初めて海外の業界人たちに私を知らしめてくれ、またCAA(アメリカ最大規模のエンターテイメント・エージェンシー)と仕事を始めるきっかけになりました。
そして、ハリウッド作品にもたくさん出演しましたが、私を世界中に知らしてめてくれるターニングポイントとなったのが『イカゲーム』です」
――レタスクラブは料理やレシピを紹介する媒体です。作中のBBQシーンは、とても手慣れているように見えましたが、普段お料理をされますか? 実は奥様のYouTubeが大好きでよく見ているのですが、そこでビョンホンさんが「チェユクポックム」が好きだということも知りました。
続きを読む
イ・ビョンホン「アメリカに行くと、友人や知人を招いてBBQをすることがよくあって、肉を焼くのはいつも私が担当します。上手というか、何度もやってきたので慣れてはいますね。ですので、あのBBQのシーンは違和感なく演じることができました。肉ではなくウナギですけど…。
あとは、キムチチャーハンもたまに作ります。妻のYouTubeを見てくださっているのですね」

――はい、よくチェックしています。では、日本に来て必ず食べるものはありますか?
イ・ビョンホン「一番好きなのはカレーライス。昨日も日本に着いてすぐルームサービスで頼みました。さっきの昼食もカレーライスでした(笑)」
――そんなにお好きなんですね! カレー好きでしたら、ぜひ大阪発祥の人気のカレーを食べてみてください。東京にもお店がありますので。
イ・ビョンホン「(興味深そうにして)東京のカレーとは味が違う? 東京にもあるんですね」
――ええ、味が違うので、カレー好きならおすすめです。ビョンホンさんが来日したときに立ち寄る場所やお気に入りのお店はありますか?
イ・ビョンホン「よく行くのは『ドン・キホーテ』。買うものはいつも決まってビールのつまみです(笑)」
「ぜひ」という言葉の響きが好き
――雑誌レタスクラブの中で食べてみたいお料理はありますか?
イ・ビョンホン「(2月25日発売の3月号の誌面を見ながら)これは、知っている味だな……。食べたことがあります」
――チキンカツですね!
イ・ビョンホン「私はこういう料理が好きなんですよ。美味しいですし、チキンも大好きですから」
続きを読む
――最近覚えた日本語や好きな日本語があれば教えていただけますか?
イ・ビョンホン「(少し考えて)……前から言っているのですが、『ぜひ』という言葉。発音も魅力的な言葉だなと思って、大切にしています」
――ありがとうございます。「ぜひ」またインタビューさせてください!
イ・ビョンホン「ぜひ(笑)。ありがとうございました」

イ・ビョンホンさんプロフィール
1970年7月12日生まれ。
1991年、KBS公開採用タレント14期としてデビュー。映画『JSA』(2000)で一躍トップスターの仲間入りを果たし、『甘い人生』(2005)で海外からも高い評価を得る。その後ハリウッドにも進出し、『マグニフィセント・セブン』(2016)などに出演。近年では世界的大ヒットドラマ「イカゲーム」(2021〜)での圧倒的な存在感が記憶に新しい。本作『しあわせな選択』で韓国人俳優として初めてゴールデングローブ賞(映画部門)主演男優賞にノミネートされる快挙を成し遂げた。
映画『しあわせな選択』STORY
25年間、製紙会社で真面目に働いてきたマンス。愛する妻と子ども、大きな家に囲まれ「人生は完璧だ」と信じて疑わなかった。だが、突然のリストラが彼を襲う。再就職先を求めて奔走するも、待ち受けていたのは厳しい現実…。追い詰められたマンスは、ある狂気に満ちた解決策を思いつく。「自分より優秀なライバルを排除すればいい」。愛する家族の「しあわせ」を守るため、エリート会社員だった男の暴走が始まる――。
続きを読む
2026年3月6日(金)より全国公開
2025年製作/139分/PG12/韓国
配給:キノフィルムズ
監督・脚本:パク・チャヌク
出演:イ・ビョンホン、ソン・イェジン、パク・ヒスン、イ・ソンミン、ヨム・ヘラン、チャ・スンウォンほか
世界的大スターであり、韓国を代表する俳優イ・ビョンホンさん。
取材現場に現れた瞬間、その深みのあるオーラに圧倒されましたが、その素顔は驚くほど優しく気さく。インタビュー中も、ずっと温かな笑顔を絶やさず、一つ一つの質問に対して丁寧に言葉を選んで答えてくださる姿が印象的でした。
世界を魅了する眼差しは鋭く、語る言葉はどこまでも哲学的 。それなのに、話題が「カレーライス」や「ドン・キホーテ」になると、途端に少年のような愛嬌たっぷりの笑顔を見せる…。その抗いがたいギャップこそが、彼が35年間もの長い間、世界中で愛され続ける最大の理由なのだと確信。
主演のビョンホンさん自身が「出演している私ですら見るたびに発見がある」と太鼓判を押す本作 。ゴールデングローブ賞3部門ノミネートをはじめ、世界中の映画祭で熱狂を巻き起こしている本作は、まさに韓国映画界の新たな伝説の誕生を予感させます。
「今までこんなイ・ビョンホン見たことない!」と驚くこと間違いなしの展開、そして秀逸なラスト。映画『しあわせな選択』は2026年3月6日(金)より全国公開です。
イ・ビョンホンさんが選んだお気に入りレシピ「チキンカツおろし煮」

■材料(2人分)
・とりもも肉…小1枚(約200g)
続きを読む
・大根…120g
・玉ねぎ…1/2個(約100g)
・にんじん…1/4本(約40g)
・れんこん…40g
・じゃがいも…1個
・ほうれん草…2株(約50g)
・なめたけ(市販品 )…20g
【A】
・めんつゆ(3倍濃縮)…大さじ4
・水…1と1/2カップ
【ころも】
・薄力粉、溶き卵、パン粉…各適量
・塩、こしょう、揚げ油
■作り方
〈1〉大根はすりおろし、軽く汁けを絞って80gにする。玉ねぎは4等分のくし形、にんじん、れんこんは8mm厚さの半月切りにする。じゃがいもは四つ割りにする。ほうれん草はラップで包んで1分レンチン(600W)し、水にさらして水けを絞って3~4cm長さに切る。
※電子レンジを使う場合は600Wのものを基準としています。500Wなら1.2倍、700Wなら0.9倍の時間で加熱してください。また機種によって差がありますので、様子をみながら加熱してください。
〈2〉とり肉は横半分に切り、塩、こしょう各少々をふり、ころもの材料を順につける。
〈3〉フライパンに揚げ油を2cm深さまで入れて約180度に熱し、にんじん、れんこん、じゃがいもを入れる。時々上下を返しながら4~5分揚げる。じゃがいもに竹串を刺してみてすっと通るようになったら、すべて取り出す。〈2〉を入れ、時々上下を返しながら、こんがりとするまで6~7分揚げる。
〈4〉別のフライパンにA、玉ねぎを入れて中火にかけ、玉ねぎがしんなりするまで煮る。チキンカツを食べやすく切って加え、大根おろしの半量、残りの〈3〉、ほうれん草も加え、ふたをしてひと煮立ちさせる。器に盛り、チキンカツに残りの大根おろしとなめをのせる。
(レシピ作成・調理:ほりえさちこ/撮影:鈴木泰介)
イ・ビョンホンさん撮影=Maiko Fukui
取材・インタビュー=みんしる
韓流ナビゲーター。 韓流イベントの MC やラジオパーソナリティーとしても活躍中。 初めてハマった韓国ドラマはキム・ レウォン主演の 「屋根部屋のネコ」。 毎日のように韓国ドラマを追う日々の中、2月には今年初めてのソウルにて映画&舞台三昧な旅を満喫!インスタ(@minsilchung / @minsil323) とTikTok(@minsil323) で最旬韓国情報を発信中。
記事一覧に戻る