
イタリアを代表するデザートのひとつである「パンナコッタ」。とろっと濃厚な味わいとなめらかな口どけが魅力です。真っ白でつるんとした見た目は、シンプルながら極上の味わいを秘めていますよね。
「パンナコッタ」という言葉の意味や、似ているデザートのババロアやプリンとの違いについて、知っていますか?
パンナコッタの基礎知識 名前の由来と材料

パンナコッタは、イタリア語で「panna(パンナ)」=生クリーム、「cotta(コッタ)」=煮た、火を通した、という意味の言葉を組み合わせた名前です。直訳すると「煮た生クリーム」となります。
続きを読む
その名前の通り、生クリームを主役にしたデザートですが、基本的な材料は驚くほどシンプルです。
主な材料は、生クリーム、牛乳、砂糖、そしてゼラチンです。これらの材料を合わせて加熱し、ゼラチンで冷やし固めるだけで作れる、とても手軽なスイーツです。
発祥は北イタリア・ピエモンテ州
パンナコッタの発祥地は、イタリア北西部に位置するピエモンテ州です。ピエモンテ州はスイスとの国境に近く、アルプス山脈にも近い気候から、古くから酪農が盛んに行われてきた地域です。
パンナコッタが誕生したのは1900年代初頭のことで、酪農が盛んなピエモンテ州ランゲ地方のハンガリー人の女性が作ったのが始まりといわれています。当時は生クリームやゼラチンが普及していなかったため、牛乳やその上澄みをデンプンと一緒に煮込んで固めていた時代もあったようです。
続きを読む

「パンナコッタ」という名称が料理本に登場したのは1960年代と比較的新しいものの、2001年にはピエモンテ州の伝統的な食品として正式に認定されています。
日本には1990年代初め頃にブームが到来し、特に1994年頃に流行しました。現在では、食後のデザートや喫茶店やカフェのスイーツとして広く親しまれています。
なめらかな口どけの秘密と素材選びのコツ
パンナコッタの最大の特徴は、スプーンがするっと入り、口に入れるととろけるような、独特のなめらかさです。この絶妙な食感を生み出すカギは、主にゼラチンの量と加熱方法にあります。
■加熱のコツ:
強く煮込むのではなく、ゼラチンと砂糖が溶ける程度に温めるだけです。材料を温める際、決してぐらぐらと沸騰させないように注意しましょう。80度前後、鍋の縁に小さな泡が立つ程度で火を止めるのが、滑らかな食感を生み出すポイントです。
続きを読む
■ゼラチンの選び方と量:
パンナコッタは弾力性と粘性が強いゼラチンを使うため、やわらかくプルンとした食感を楽しむことができます。ゼラチンは、全体の液体に対して1.5〜2%程度が理想的です。よりつるんと滑らかな仕上がりを求めるなら、板ゼラチンを使うのがおすすめです。
■素材の選び方:
生クリームは乳脂肪分35〜45%のものが理想的で、脂肪分が高いほど濃厚な味わいになりますが、牛乳とのバランスも大切です。砂糖は、上白糖でも大丈夫ですが、グラニュー糖を使うとよりすっきりとした甘さに仕上がります。

定番のバニラ風味以外にも、コーヒー、紅茶、抹茶など、さまざまな風味付けやアレンジが楽しめます。イタリアでは、乳の臭みを消すためにレモンの皮のすりおろしを入れることもあるそうです。
続きを読む
ババロアやプリンとの違いを徹底解説
パンナコッタは見た目や食感が似ているため、ババロアやプリンと混同されやすいデザートですが、材料や固め方に明確な違いがあります。

ババロアとの違い
ババロアは、卵黄を使った「アングレーズソース」に、泡立てた生クリームを加え、ゼラチンで冷やし固めます。泡立てたクリームを加えるため空気を含み、パンナコッタの「ツルンと滑らか」な食感に対し、ババロアは「フワッとしてムースに近い」食感が特徴です。パンナコッタは生クリームを泡立てずに煮詰めて固めます。
プリンとの違い
プリンはゼラチンを使わず、卵の熱凝固作用を利用して蒸し焼きにすることで固められます。この固め方の違いが、パンナコッタの「とろけるような食感」に対し、プリンの「しっかりとした食感」の差を生み出しているんですね。
続きを読む
パンナコッタは、材料がシンプルで混ぜて冷やし固めるだけなので、お菓子作り初心者の方にもぴったりのデザートです。
【簡単レシピ】家庭で作れるパンナコッタ
パンナコッタは、混ぜて冷やす工程がメインなので、家庭でも比較的簡単に本格的な味わいを楽しめます。ここでは、レタスクラブで人気のレシピをご紹介します。

濃厚パンナコッタ
【材料・300mlの容器2個分】
生クリーム…1カップ、牛乳…1カップ、砂糖…60g、粉ゼラチン…5g、好みのジャム…適量
【下ごしらえ】
1.小さめの器に水25mlを入れ、粉ゼラチンをふり入れてよく混ぜ、冷蔵室で約30分ふやかす。
続きを読む

【作り方】
1.小鍋に生クリーム、牛乳、砂糖を入れ、耐熱性のへらで時々混ぜながら中火で加熱する。
2.鍋肌がふつふつしてきたら火を止める。

3.ふやかしたゼラチンをちぎって加え、耐熱性のへらで混ぜて溶かす。
4.ボウルに移し、底を氷水に当てて粗熱をとる。容器に流し入れ、冷蔵室で約2時間冷やし固め、食べるときにジャムを添える。
※【保存期間】ラップをかけて冷蔵室で2日間
(調理/飯塚有紀子 栄養計算/スタジオ食)
▶教えてくれた人 飯塚有紀子先生

料理研究家、グラフィックデザイナー。家庭でつくることを大切に伝えるお菓子教室「un pur…(アンピュール)」を2000年より20年間主催。現在は、家で作って美味しく食べる暮らしのレシピサイト<eat at home>にて、家でつくる時間を楽しんだり、みんなで美味しく食べる時間が何より大切に感じられるレシピを丁寧に伝えている。また雑誌や書籍での活躍だけでなく、グラフィックデザイナーとしての経歴を生かし、パッケージデザインを含めた商品開発も手がけている。
続きを読む

和風ヨーグルトパンナコッタ
【材料・約150mlの器4個分】
プレーンヨーグルト…200g、牛乳…1と1/2カップ、はちみつ…大さじ3、粉ゼラチン…5g、ゆであずき…適量
【作り方】
1.小さめの器に水大さじ2を入れ、粉ゼラチンをふり入れてふやかす。
2.小鍋に牛乳を入れて弱火にかけ、はちみつを加えて混ぜながら溶かす。沸騰直前に火を止め、1を加えて混ぜ、粗熱をとる。
3.ボウルにヨーグルトを入れ、2を2~3回に分けて加え、そのつど泡立て器で混ぜる。

4.器に等分に入れ、冷蔵室で2時間以上冷やし固める。食べるときにゆであずきをのせる。
続きを読む
※はちみつを使っているので、1歳未満の乳児には食べさせないでください
(1人分162kcal、塩分0.2g 調理/ワタナベマキ 栄養計算/スタジオ食)
▶教えてくれた人 ワタナベマキ先生

料理家。グラフィックデザイナーから料理の道へ。季節感を大切にした、旬の素材を活かす料理や保存食、乾物料理が人気。「何も作りたくない日はご飯と汁だけあればいい」(KADOKAWA)など、常備菜や弁当、朝食を紹介する著書が多数ある。
混ぜて冷やし固めるだけなので、お菓子作り初心者の方でも本格的な味わいを楽しめますよ。定番のバニラ風味はもちろん、お好みのソースや季節のフルーツで、パンナコッタのアレンジをぜひ楽しんでみてくださいね。
文=レタスクラブK 監修=齋藤久美子(栄養士)
記事一覧に戻る