
日本でもすっかりおなじみで人気の高い韓国料理のひとつ、プルコギ。甘辛い味付けはご飯との相性も抜群で、スタミナ満点なメニューとして親しまれています。
しかし、「焼肉」と言われることもあれば「煮込み」のようにも見えたりと見た目も様々。その実態を詳しく知らない方もいるかもしれません。おいしいプルコギを味わうために、その定義や歴史、そしてご家庭で楽しめるレシピを徹底解説します!
プルコギの意味や特徴などの基本知識
プルコギってどういう意味?
プルコギは、韓国を代表する肉料理の一つです。 韓国語で「プル(불)」は火を、「コギ(고기)」は肉を意味し、直訳すると「火で炙って食べる肉」という意味になります。
古代には直火で焼いた肉料理を指していましたが、現在のプルコギは、薄切りの牛肉を甘辛いタレ(ヤンニョム)に漬け込んで下味を付けた後に、野菜や春雨とともに焼くか煮るスタイルが主流です。
続きを読む

プルコギの歴史
プルコギの起源は、朝鮮時代の宮廷料理である「ノビアニ」にあるとされています。ノビアニは、味付けした薄切り肉を網で焼き上げて盛り付ける高級料理でした。
これが時代と共に変化し、食卓で調理しながら食べる現在のプルコギスタイルへと発展しました。
私たちが知る現代のプルコギの原型は、朝鮮戦争後の混乱期に生まれました。家を失った庶民が屋外でコンロを囲み、醤油ベースで味付けした肉を鉄板で焼いて食べたことが始まりと言われています。まさに苦難の時代が生んだ、庶民の知恵の結晶と言えるでしょう。
「プルコギ」という言葉は、1922年に文献に初登場し、1930年代半ばには全国的に広がる言葉となりました。特に1945年から1975年の間には焼肉専門店が次々と誕生し、プルコギは韓国の外食文化の中心的存在として成長しました。
続きを読む
プルコギの特徴的な食材と味付けの秘密
肉とタレ(ヤンニョム)
プルコギの主役は、主にロースやカタ、モモなどの赤身が多い薄切りの牛肉です。
味付けの要となるタレ(ヤンニョム)は、醤油ベースの甘辛い味わいが特徴で、日本人の口にも合いやすく親しみやすい風味です。
タレには、醤油、砂糖、酒、ごま油といった調味料のほか、にんにくやしょうがが使われます。さらに、ナシやリンゴ、時にはキウイなどの果物のすりおろしを加えることが、プルコギの味の深みを生み出す重要な秘密です。これらの果物は甘味と風味を加えるだけでなく、酵素の働きで肉を柔らかくする役割も果たしています。
脇役となる野菜と春雨
プルコギには、下味を付けた牛肉と、玉ねぎ、長ねぎ、にら、にんじん、パプリカ、きのこ類などの野菜が一緒に使われます。
続きを読む
特に玉ねぎは甘みを、長ねぎは香りを、きのこは旨味を加え、これらの脇役がプルコギの味と食感を豊かにしています。
また、もちもちとした食感を持つ韓国春雨(タンミョン)を入れることも一般的です。春雨は肉汁を吸って、全体の味を凝縮させる役割を果たします。
伝統的な調理法:「焼く」と「煮る」
プルコギは、大きく分けて「焼く」方法と「煮る」方法の2つの調理法で楽しむことができます。
伝統的な調理器具「プルコギ鍋」

本場韓国では、中央部分が山のように高く盛り上がり、縁がくぼんだ独特の形状をしたプルコギ鍋で調理されることが多いです。これは日本のジンギスカン鍋にも似ています。
この構造により、中央の盛り上がった部分で肉を焼くと、旨味たっぷりの肉汁が甘辛いタレとともに縁のくぼみに流れ込み、ここで野菜や春雨を煮込む仕組みになっています。
続きを読む
ご家庭でプルコギを作る場合は、フライパンで代用することも可能です。調理の際は、加熱する前に調味料を食材によくもみ込み、味のムラがないようにすることが美味しく仕上げるポイントです。
■地域色豊かなバリエーション
プルコギは、地域や家庭によって調理法や味が多彩に変化しています。
■トゥッペギ プルコギ:
一人用の韓国式土鍋(トゥッペギ)で、だし汁や水と牛肉、野菜を煮込んだ具だくさんの鍋料理です。定食スタイルで提供されることが多いです。
■プルコギ チョンゴル:
平たく大きな鉄鍋に具材を彩りよく盛り付け、卓上で煮込みながら食べる豪華な鍋料理です。宴会などで人気があります。
■パッサッ プルコギ:
朝鮮半島南部の蔚山(ウルサン)地方に伝わる、汁気の少ないカリカリに仕上げるプルコギです。「パッサッ」は乾いた様子を表す擬声語です。牛肉を細かく刻み、濃いタレで和えて網焼きにすることが多く、ハンバーグのような見た目ですが、独特の食感が魅力です。
続きを読む
■テジプルコギ:
豚肉を使ったプルコギです。安価で食べ応えがあるため庶民にも人気が高く、コチュジャン(唐辛子味噌)をベースににんにくや生姜を効かせた、ピリ辛で濃厚な味付けが特徴的です。
焼き上がったプルコギをサンチュやエゴマの葉に包んで食べる「サム(包み)」スタイルが一般的です。ご飯やキムチ、ナムル、サムジャン(薬味ダレ)などと一緒に楽しみましょう。
お手軽!家庭で作れるプルコギ風レシピ2選
家庭の身近な食材を使って手軽に作れる、プルコギ風のレシピを2つご紹介します。

[LINK_TAB(https://www.lettuceclub.net/recipe/dish/33860/)]
牛肉となすの和風プルコギ[/LINK_TAB]
続きを読む
甘辛いタレに、和の定番食材であるなすをプラス。コチュジャンを使わず、みそとしょうゆで味を調えるため、辛いものが苦手な方でも楽しめるプルコギ風炒めです。
【材料・2人分】
牛切り落とし肉…200g、玉ねぎ…3/4個、にんじん…1/3本(約50g)、なす…2個(約160g)、おろしにんにく…1片分(小さじ1弱)、砂糖、しょうゆ、みそ…各大さじ1、ごま油…大さじ1/2、サラダ油…大さじ1
【作り方】
1.玉ねぎは1cm幅のくし形切りにし、にんじんは2~3cm長さ、8mm幅の短冊切りにする。なすは縦半分に切って1cm幅の斜め切りにする。牛切り落とし肉はボウルに入れ、おろしにんにく、砂糖、しょうゆ、みそ各大さじ1、ごま油大さじ1/2を加えてもみ込む。
続きを読む
2.フライパンにサラダ油大さじ1を中火で熱し、玉ねぎ、にんじん、なすを入れて約2分炒める。牛肉を加え、ほぐしながら約4分炒め合わせる。
(1人分496kcal、塩分2.5g 調理/しらいのりこ 栄養計算/スタジオ食)
▶教えてくれた人 しらいのりこ先生

新潟県出身、お米料理研究家。夫と共に「ごはん同盟」として お米料理、ごはんに合うおかず、おつまみなどのレシピ開発などを行う。近著「 ポリ袋でレンチンおかず 電子レンジでこんなにおいしい!」(主婦の友社) など

豚肉のプルコギ風
コチュジャンとごま油を効かせた甘辛いタレで豚肉を炒める、ご飯が進む一品です。お手頃な豚こま切れ肉を使い、スタミナ満点に仕上がります。
続きを読む
【材料・2人分】
豚こま切れ肉…200g、下味〈おろしにんにく…1片分、砂糖、しょうゆ…各大さじ1と1/2、白すりごま、ごま油…各大さじ1、コチュジャン…小さじ1〉、にら…1わ、にんじん…2/3本、玉ねぎ…1/2個、しょうがのせん切り…大1かけ分
【作り方】
1.ボウルに豚肉、下味の材料を入れて、もみ込む。にらは5cm長さに切る。にんじんは5cm長さの細切りにする。玉ねぎは縦薄切りにする。
2.フライパンを温め、1の豚肉を広げ入れて焼く。両面に焼き色がついたら玉ねぎ、にんじん、しょうがを加え、強火にして炒める。野菜がしんなりしたらにらを加えて炒め合わせる。

(1人分436kcal、塩分2.3g 調理/石原洋子 栄養計算/スタジオ食)
続きを読む
▶教えてくれた人 石原洋子先生

料理研究家。長年、自宅にて料理教室を主宰。家族が喜ぶ定番の料理からおもてなしの料理まで、誰でも再現しやすいように考え抜かれた幅広いレシピが人気。雑誌や書籍のほか、テレビでも活躍している。
プルコギは、朝鮮時代の高級料理から庶民の知恵によって生まれた、韓国の歴史と文化が詰まった奥深い料理です。甘辛い味わいと柔らかな肉は、どんな食材とも相性が良く、アレンジも豊富に楽しめます。
ご紹介したレシピを参考に、ぜひプルコギ風料理を楽しんでみてくださいね。
文=レタスクラブK 監修=齋藤久美子(栄養士)
記事一覧に戻る