
日本人女性の9人に1人が罹患するという乳がん。なんとなく「手術でがんを切除したらすぐ治るのでは?」とイメージしていませんか? 治療方法やその後の経過は人それぞれですが、手術以外の抗がん剤治療や放射線治療、ホルモン療法のほうがずっと大変……という方も少なくありません。
ステージ2の乳がんを克服した漫画家のナヲコさんは、その治療の過程をコミックエッセイ『50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました』に綴りました。がん宣告こそ冷静に受け止め、粛々と手術を受けたものの、その後の治療の中で数々のトラブルに見舞われる様子が詳細に描かれています。
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『50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました』あらすじ

アラフィフ漫画家のナヲコさんは、胸の違和感に気づいて乳腺外科を受診。検査の結果ステージ2の「浸潤性小葉がん」であることがわかりました。母親ががんを克服していたこともあって冷静に受け止め、粛々と準備を進め左胸全摘の手術を受けます。
手術後は無事終わりましたが、その後しばらくの間、切除した胸の傷口にテープが当たったり、服にひっかかったり、かぶれたり…。
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少しの動きでも肉が動いてなかなか傷が塞がらなかったと言います。
1ヶ月ほどすると傷の痛みは収まってきたものの、今度は便秘に悩まされます。術後3ヶ月たったころにはストレスのせいか激しい胃炎で救急車を呼んだことも…。

また放射線治療では照射部分が赤黒く焼け、服が肌にすれて痛みが発生。動かなければなんとかなりそう…と最初は思ったものの、息をしているだけでも痛むのだそうです。
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ホルモン療法では薬の副作用で脚の骨が痛み、立ち上がるのも一苦労になってしまいました。骨がみしみし言うので、立ち上がり補助手すりにつかまって腕の力で立ち上がるような日々を送ります。

そんな数々の治療ストレスについて描かれたコミックエッセイ『50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました』について、ナヲコさんにお話を伺っていきます。
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悪い部分は取れたけれど、手術の後の大変さを甘く見ていた
――がんの術後がこんなに大変とは思いませんでした。術後について、入院生活や退院後の生活、また体調面など印象に残っていることを教えてください。
ナヲコさん:人生初手術だったので、術後の大変さを甘く見ていたと思います。手術の目的である「悪い部分を取ってもらう」は滞りなくできましたが、切り開いた身体の傷の治りがとにかく大変だったと思います。
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体力的にがんばりがきかなかったり、傷以外の部分も不調が多かったりして、身体が傷を治そうと毎日頑張っているのは実感できました。
皮膚が焼けてしまうことが大変だった放射線治療
――術後はもちろん、放射線治療についても、痛みや症状、どう過ごしたかなどが詳細に描かれていますね。放射線治療についてはどんな印象でしたか。
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ナヲコさん:放射線治療は、事前に耳にしていたような「疲労感」「ごはんが食べられない」等の体調面の不調はほとんどなかったので、その点ではかなり楽に過ごせた気がします。
ただ、もともと皮膚が弱いので、皮膚が焼けてしまうのはすごく大変でした。それも数ヶ月でおさまってくるものなので、全体的にはうまく治療を受けられたのではないかと思います。

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傷口の痛みやかぶれ、体力の低下…治療ストレスが続く日々
――傷口がすれる、テープのかぶれ、体力の低下、便秘、治療のストレスなどなど。体験者でなければわからないことがたくさんあったようですね。今回の作品を描くにあたり、気をつけたことはどんなことだったでしょうか。
ナヲコさん:今回の乳がん治療は、最初から文章で内容を記録してありました。日々書き綴っていたことを全編通して漫画に起こそうとした時に、「まだ同じ内容なの?」とダレてしまわないように構成するのがとても難しかったです。実際に主観では「同じ大変さが続く日々」だったと思うので。今後はもっと構成力をつけて次回に活かしたい、と感じる経験でした。
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切除した胸の傷口の様子や術後ブラの使用感、傷口が治るまでの過程や辛かった点など、これから手術を受ける人が気になるポイントについても作中では詳しく説明されています。
他にも、痛みで眠れなかったり、じっと座っているのも大変だったり、仕事が全然進まなかったり…といった様々な治療ストレスも。手術までの経緯が淡々と冷静に描かれている分、その後に襲いかかる数々のトラブルやストレスに「がん治療の大変さ」をあらためて知ることができます。
取材=ナツメヤシ子/文=レタスユキ
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