
日本人女性の9人のうち1人が罹患するといわれている「乳がん」。セルフチェックで「胸を触ってみてしこりがあるかどうか」を確認することを知っている人は多いかと思います。しかし、乳がんになっていても、必ずしも「しこり」や「かたまり」に触れないこともあるのだそうです。
アラフィフでがん治療を経験した漫画家のナヲコさんの場合も、最初はわかりやすいしこりがあったわけではないそうです。そんなナヲコさんの実体験について、コミックエッセイ『50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました』の中からご紹介していきましょう。
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漫画『50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました』あらすじ
アラフィフの漫画家・ナヲコさんは、同世代の友人が胸の腫瘍を取ったことをSNSで知ったのがきっかけで、自分の胸を確認しました。

「手ごたえがあるような?ないような?」「でも両方ある感じもするし?乳腺?こんなもん?」という印象だったそうです。母親が乳がんだったこともあり、その違和感が気になったナヲコさんはさっそく乳腺外科を受診します。
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マンモグラフィ、エコーと検査を受け、「左胸の下のほうに影が見える」「しこりではなく広がる感じ」と乳がんの可能性を示唆されます。そして生検の結果、乳がん全体の5%しかないという、ちょっと珍しい「浸潤性小葉がん」のステージ2と診断されました。

左胸を全摘することになり、手術を受ける病院を選んで受診。手術日が決まると、各種手続きや、入院グッズの準備、術後用ブラの手配、CTやMRIなどの検査、コーディネーターとの打ち合わせなど、やることは盛りだくさん。
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手術で全身麻酔をするため、虫歯があれば入院前に治しておいて…と言われたものの、手術の日が近くて歯医者に行けなかったなどの心残りも。そうして慌ただしく手術当日を迎えて…。

手術後の入院生活、退院後の通院や体調の変化、放射線治療やがん保険のエピソードなど、当時の心境を交えながら乳がん治療の経緯が、この作品ではわかりやすく描かれています。
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ここからは、乳がんの治療経験と、著作『50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました』について、著者のナヲコさんにお話を伺っていきます。
「しこりじゃない乳がんもあるんだ!?」という驚き
――「浸潤性小葉がん」と診断されたときのお気持ちを教えていただけますでしょうか。
ナヲコさん:乳がんそのものに対しては「やっぱりな、そうですよね」という気持ちでしたが、経験者からよく聞く「しこり」「かたまり」などとは違うものだった、ということには驚きました。「しこりじゃないものもあるんだ!?」という、新たな学びでした。「よくある乳がん」でいいのに…と思ったのが正直なところです。
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「あの短期間で、しかもひとりでよく準備したなぁ」の自己肯定感
――入院の準備や、同居人への報告、MRIやCTといった事前検査など、手術までにやることがたくさんありましたね。ただでさえ病気や手術で不安がいっぱいなのに大変すぎる!と思いました。手術前を振り返って大変だったことや印象に残っていることを教えてください。
ナヲコさん:初診から入院・手術までの日程がとにかく早かったです。それはありがたかったのですが、準備に追われました。今振り返っても、あの短期間でしかもひとりで、よく準備したなぁと思います。大変だったという思い出よりも、がんばればできるんだなぁという自己肯定感のほうが強く残っています。
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誰かの健康のきっかけになってくれたら
――ナヲコさんが『50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました』で描きたかったことや本作に込めた想いを教えていただけますでしょうか。
ナヲコさん:誰かの発信がきっかけで、ほんのちょっとでも興味を持って健康管理に関わっていけること。自分が「誰かの発信にきっかけをもらう」ということを経験したことで「わたし自身の発信も誰かの健康のきっかけになりえるかもしれないし、そうだといいな」と思いました。
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がんは早期発見で治療がしやすくなる病気ですので…とにかく見てくれた人が「きっかけ」を受信してくれたら、という一心で描きました。

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乳がんは「しこりがあるかどうか」だけでは見つからない場合があります。ナヲコさんの体験が示すように、しこりがなくても違和感を覚えた時点で医療機関を受診することが大切です。日常的なセルフチェックと、定期検診の両方を必ず行うことが、乳がんの早期発見と早期治療に繋がるでしょう。
取材=ナツメヤシ子/文=レタスユキ
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