
試着なしの衝動買い、ダブり買い、推し課金、投資の失敗などなど…お金が貯まらない理由は人それぞれですよね。にもかかわらず、なんとなく「家計簿をつければお金は貯まるはず」って思い込んでいませんか?
「使ったお金を『いる』『いらない』に分けることが貯金の第一歩」と語るのは漫画家のなぎまゆさん。これまでお片付けについての実録コミックエッセイや、ダイエットについての実体験を描いたマンガを世に送り出してきましたが、このたびお金についてのコミックエッセイを発表しました。それが『物事を「いる・いらない」に分けただけで、貯金ゼロから「貯められる人」になりました』です。
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家計簿をつけること以上に大切な、財布も人生も豊かになるお金の整え方をなぎまゆさんに聞きました。
『物事を「いる・いらない」に分けただけで、貯金ゼロから「貯められる人」になりました』あらすじ

漫画家のなぎまゆさんには、40代の友人Yさんがいます。
過去のお金に関する失敗を経て、家計管理のコツを習得したなぎまゆさんは、Yさんの家計改善をサポートすることになりました。
なぜなら、Yさんが働いていて収入もあり、特段贅沢はしていないはずなのに、思うようにお金が貯まらないことを悩んでいたからです。
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将来のお金を真面目に考えることにしたYさんは「節約といえば…」とばかりに、カテゴリーごとに支出を細かく漏らさず書き込んだ家計簿を作成します。
しかし完成した家計簿をチェックしたYさんは、なんだか拍子抜けした様子です。家計簿からは自分が期待していたような効果が得られないかも、と落胆していたのです。

苦労して家計簿をつけたYさんの行動を見ていたなぎまゆさんは、その努力を認めながらも「家計簿で細かくジャンル分けすることは節約とは関係ない」とバッサリ。驚くYさんに対し、節約のために家計簿で意識すべきことを解説しはじめました。
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【1】収入と支出を記録すること
【2】支出の中から不要な出費をあぶりだすこと
【3】生活に必要な本当の金額を把握すること
Yさんの家計簿は【1】で止まってしまっているため、節約のために必要な情報が足りないと指摘します。

なぎまゆさんが提案したのは、「要・不要別」の家計簿でした。自分がした買い物のうち、何が「不要」だったのかに気づくことで、次の買い物から気をつけるべきことが分かるというのです。

サイズ間違いなどで失敗した買い物や、ATMの手数料などが「不要」だと教えられたYさんはショックを受けます。なぜならそれらの支出に心当たりがありすぎたから…。
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この後、なぎまゆさんの様々なアドバイスを聞いたYさん。無事に家計を改善することはできたでしょうか?
なぎまゆさんインタビュー
――「家計簿で細かくジャンル分けすることは節約とは関係ない」「クレジットカードのポイントを追うことで家計が崩れている」など目からうろこが落ちるポイントがたくさんありました。
家計簿をつける、ポイントのたくさん付くクレジットカードを使う、など、一見して節約につながりそうであっても、必ずしもそうとは限らない、ということを発見できた理由は何だったのでしょうか?
なぎまゆさん:家計改善を意識しはじめてから長年の買い物の仕方を振り返った時に、結構な頻度で「お得情報」「ポイントの還元率」に合わせて自分が行動していることに気づいたことがきっかけの一つです。
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本来は「自分が必要と思う物やサービスを買うこと」が最優先でなくてはならないのに、「お得に買うこと」「ポイントをより多くもらうこと」が優先になると、結局そのために要らない物を買う頻度が上がってしまうんですよね。企業側もそれを期待して色んなサービスを展開しているのでしかたないのですが…。それに気づいてからは、ポイントは取りに行くものではなく、もらえる時にもらう物、という意識を持つように心がけています。

――固定費の削減や「要・不要」の見直しなどのテクニックを考案された際のエピソードがあれば教えてください。
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なぎまゆさん:私には、固定費を削減する際、使っていないサブスクのサービスに毎月1,500円以上払ってしまっていることに気づいた過去があります。友人Yさん以外の数人が家計簿をつけはじめたところ、使っていないサブスクにお金を払っていました。いまのところ100%の確率です!
人は明確化しないと、どんな人でも無駄がでてしまうんだなあと思ったエピソードでした。
――「要・不要別」の考え方は、お金以外にも活かされている場面はありますか? 例えば、人間関係や時間の使い方など、具体的なエピソードがあれば教えてください。
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なぎまゆさん:あらゆる所で生きていると思います。無駄はとにかく削れば良しと単純化されがちですが、あらゆる角度から見てそれが本当に無駄なのか、今は無駄に思えても後々大きなリターンがあるから必要なはず、といった感じで都度考える力はどの場面でも必要だと思います。

――なぎまゆさんが行ってきた「片付け」「ダイエット」「家計改善」、すべてに共通するのは、他人のやり方を参考にしつつ、自分の性格や生活と向き合うことが大切だということですよね。しかし自分と向き合うことは、簡単なようで意外と難しい気もします。なぎまゆさんやご友人がご自分と向き合うことができた理由は何でしょうか?
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なぎまゆさん:散々失敗してきたから、に尽きますが、せっかちな性格だから、というのもあります。ピンとくる他人のやり方をよく噛み砕かず、勇んですぐ真似しようとして結局続かずに失敗、というのを何度も繰り返してきました。
年齢を重ねたり健康を損ねたりすることで、今度はすぐに手をつけず一旦落ち着いてもう一度よく考えよう、となったのだと思います。何度もトライしなければ成功もないので失敗は悪いことではないですが、同じやり方で何度も失敗を繰り返しているようなら、それは正しいやり方を知らないということ。
一度先入観を捨てて立ち止まることも大切だなと思います。
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私自身も振り返ってみると、「なんとなく」「よく吟味せずに」払ってしまったお金のなんと多いことか! 思い返すとそういった出費は、自分が忙しいときやストレスがあるときに集中している気がします。
お金と心の余裕を手に入れるためにも、「いる・いらない」を見直してみようと思います。
取材・文=山上由利子
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